「壁に絵を描きませんか」
初めて言われたのは実は2年前です。

駅前すぐSL広場の大通りから、細くて暗い道を不安になりつつ進むと、
カウンターだけのBar「anis(アニス)」があります。
2年前のゴールデンウィーク、当時「行きたかった海」の絵をアニスの壁に描きました。
大学院生だった自分は社会人になり、初任給ではここでお酒を飲んだりと大人な成長。
ある日「また描きませんか」と言っていただいたのをきっかけに、3週間前のシルバーウィークに、制作を決行いたしました。初日にマスターとペンキ塗りをして、のこり4日間で絵を描くという計画。

飲食店の壁なので、油絵の具は使いません。くさくありません。
なにを描くのかは前もって考えてるの?とよく聞かれますが、イメージをふくらませつつ、どんな画面にするのかはその場で決めていきます。筆のかすれ方、絵の具の垂れ方、ひいた線の伸び方など、一手が次の一手に影響します。
今回は「まちのなかの木」を思い浮かべながら描きました。木を描いたというより、anisが木のような場所、と捉えるかんじです。anisには、ちょこちょことさりげなく鳥がいます。都会のなかのちょっとした宿り木のような、羽を休めるような場所なんじゃないかなて
妄想しました。※勝手に
都市の色と、植物の色を表現したくなりました。

初めて海の絵を描いたとき、マスターは「すきに描いていいよ」と言いました。
お店のこととか考えなくていいと。
だから私はそのとき描きたいものをおもいきり描いたのをよく覚えています。
anisを知ってから私にも月日が流れて、この場所とここに来る人とずいぶん関わりました。
そしてこのバーがその人たちにとって過ごしやすい空間になってほしいと思うようになり、その感情は今の壁画や店内に置く絵に、反映しているんだろうなぁと感じます。


実はアニス、今日(10月12日)が記念すべき祝5周年でした。
おめでとうございます。
これからも居心地のいい時間が流れ続けますように!
Bar anis
東京都港区新橋3-2-10 小野ビル2F
新橋駅、内幸町駅より徒歩5分
(03) 6268 8969
www.bar-anis.com
Posted by

上原唯
画家 / グラフィックデザイナー
@ueharayui
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